国際計量標準とjcss校正について

古代ギリシャの時代から、アリストテレスが品質を意識していることは知られています。デジカメプリントが安い価格で、また100円ショップでもある一定の品質で得ることができる今の時代は、品質の意味合いが変わっていますが、一定の品質基準を保つ努力がなされています。飛行機の重要なエンジンであるターボファンの製造など、高精度の技術が求められる製造業において、さらに高い品質が求められることから、この品質を管理し実施し、それを文書化して維持することにより継続的に改善するために、様々な国際標準規格が導入されています。この品質は、例えば長さや重量、圧力といった計量や測定が、精度という形で信頼を担保される必要があり、日本ではその信頼性を確保するためにJCSSと呼ばれる制度を定め、車検と同じくその能力を持つ事業者を審査、登録しています。登録事業者が行うjcss校正についてご紹介します。

JCSS校正とは、「ズレ」を証明すること

JCSSで認定された業者により、測定を行う様々な計量器の精度を国際標準に沿って校正・検証することで、その計量器の信頼性が認められことをjcss校正と呼びます。この校正は、計量器ごとに定めた期間の精度について、測定値が標準と比較してずれがあるかを証明するもので、そのずれをメンテナンスで修正することではありません。修理や調整で検査に合格すれば、次の検査までの使用を許可される車検とは意を異にするものです。校正が終わると、測定値のずれや精度が記載された校正証明書が発行されます。結果から、前回と今回の間に行われた測定の信頼性を確認し、前回と比較して、計量器として許容されないズレがある場合は機器の更新が必要です。ターボファンエンジンなどの重要な部分にトラブルがあると問題に繋がります。この校正証明書を活用することにより、国際計量標準を使用する国などと相互に承認を実施することも可能になります。

身近なところで人の安全や安心を支える

人の命を守る医療では、検査器具から人工心肺に至るまで、金属や樹脂など様々な材質を加工、組み上げ、設計通りに動作するには精度が非常に重要です。少しのズレや精度の低下が安全につながることは、幾多の飛行機をはじめとする旅客関連のニュースでも知られています。数百万点と呼ばれる部品で製造される飛行機の場合、ターボファンエンジンに鳥が衝突するバードストライクが原因の墜落も後をたちません。このようなトラブルがなくとも、数百万点の部品が常に正しく動作するように、車検以上に非常に高い精度と質を保たれることで安全を支えています。私たちの身近な製品や構造物が、jcss校正によって、常に高い精度と品質で製造、維持されていることはあまり知られていません。少しだけ意識してみると、私たちの安心を支えている品質や精度に気がつくかもしれません。